街中で目にする機会が増えたLEDビジョンですが、どこにでも設置できるわけではありません。
日本には屋外の広告物表示を制限する法令が存在します。
今回は、LEDビジョンとはなにか、屋外に設置する時の注意点についてご紹介します。
LEDビジョンはデジタルサイネージと別物
LEDビジョンは、屋外や屋内で利用できるディスプレイで、様々な目的に使用できます。
主な特徴は、明るさとコンテンツの自由さです。
特に、明るさにおいて優れており、屋外広告に最適です。
通常のモニターやテレビと比較して、約20倍の明るさがあります。
さらに、輝度を調整することも可能であり、夜間にまぶしい場合にも対応できます。
なお、「デジタルサイネージ」という言葉もよく使われますが、基本的な意味では大きな違いはありません。
それは設置型ディスプレイ広告を指す一般的な用語であり、その中にはLEDビジョンも含まれます。
LEDビジョンを屋外に設置する際に知っておきたい法令
屋外広告物条例
屋外広告物の基準は、地方自治体が制定している屋外広告物条例によって規定されています。
この条例は、屋外看板全般に関するルールを定めており、設置前には該当地域の役所への申請と許可が必要です。
屋外広告物条例では、設置場所(建物の壁面、屋上、自立柱など)や用途地域によって設置の要件が規定されています。
これには、設置できるエリアや表示画面の大きさなどが含まれるので、検討する際には注意が必要です。
ただし、屋外向けのLEDビジョンを屋内から屋外に向けて設置する場合は、例外的に屋外広告物条例が該当しない場合もあります。
一般的な事例としては、建物のガラスの内側から屋外に向けて表示物を設置するケースで、
屋外向けの表示物ですが、屋内設置のため、屋外広告物条例の対象外となる場合もあります。
景観条例
特定の地域では都市の景観に関する規則が存在します。
景観規則が該当する地域で屋外広告物の許可を得るためには、景観規則に適合している必要があります。
また、屋内から屋外に向けた表示物も景観規則の対象となることが多く、対象地域では屋内設置の場合でも地方自治体との協議が必要です。
景観規則の申請では、LEDビジョンの仕様だけでなく、設置後の運営面(放映する映像コンテンツ、放映時間など)の詳細な計画を提出し、地方自治体と協議して設置の可否が判断されます。
この際、地域ごとの景観制限に適合した運営計画を地方自治体に説明できるかが、許可の可否に影響します。
景観規則は、歴史的建造物の多い地域や観光地などでよく制定されており、実際には京都市や奈良市が最も厳しく、大型LEDビジョンの設置はほとんど難しいとされています。
工作物確認申請
高さ4mを超えるLEDディスプレイ(独立した広告塔であれば地面からの高さ、その他の場合はディスプレイの高さ)を設置する際には、工作物の確認申請が必要です。
この申請には、資格を持った専門家による構造計算の確認も必要です。
確認申請は、設置を検討している場所の役所によって定められた条例や規定に従って行われます。
したがって、事前に該当する役所で確認し、申請手続きを行う必要があります。
また、工作物の確認申請は屋外広告物の規制とも関連しており、通常、工作物の確認申請が許可されていない場合は屋外広告物の許可も得られません。
さらに、工作物の確認申請が承認された後は、工事が完了した後に完了検査の申請も行う必要があります。
他にも、敷地境界を越えての設置は管理者に許可を得る必要があり、幅や高さにも制限が出てきます。
また、交差点の信号機や横断歩道からも一定距離を置いて設置しなければなりません。
まとめ
LEDビジョンは画面が明るく、どんな場所でも設置しやすい特徴がありますが、法令によって設置が禁止される場所もあります。
特に、景観条例が適用される地域では大規模なLEDビジョンの設置は厳しいのが現状です。
設置する際は、事前に屋外看板として自治体に申請し、許可を得るようにしましょう。